第九章 業

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「それもまた、武人だな。致し方有るまい。さて、利孝様に追い付こう。朝飯を食おう。」 馬を駆けさせる。風を切って走ると、肌を刺す様に、冷たい風が吹いていた。 率いる兵や、馬の息が、真っ白になっている。 空には、赤々とした太陽が姿を見せ始めている。 「忠好。お前は俺を、恩知らずだと思うか?かつての主家に、弓を弾こうとしている。」 「…解らぬ。だが、恥じることでは無い、とも思っている。佐々木は、お前の生死すら、確認しなかった。」 「…そうか。俺はな、父の夢を見た。」
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