第九章 業

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数人の配下を引き連れた、三郎兵衛の姿が見えた。 手早く指示を出し、壁が出来上がると、こちらに走ってくるのが見えた。 忠好と頼賢も馬を降り、具足の乱れを直した。 「ご苦労がお有りだった様ですね。兵糧隊に、被害は有りませんでした。本陣との距離は、およそ半里。斥候の報告によれば、一里四方には、敵の姿は見えませぬ。」 直立した三郎兵衛が、報告をしにきた。額には、うっすらと汗が浮いている。徒を率いているために、走り続けたのだろう。 「おう、ご苦労。何、苦労という程では無い。朝飯前の、軽い運動だ。」
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