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「なに、馬上にいても、逃げ出したくなることも有るさ。徒を勤めるには、俺などは臆病過ぎるな。」
「ふふ、お戯れを。飯が来たようです、腰を降ろしましょう。床机を用意させましょう。」
湯気を立てる椀が、運ばれてきた。朝の冷気に映える様に、濃い白を浮かべている。
「おぉ、有難い。汁まで有るか。冷え込むからな。染み渡りそうだ。」
腰を降ろすと、三郎兵衛と忠好も続いた。
「忠好、片手では食べづらくは無いのか?」
「やかましい。お前のお陰で、箸が巧くなったわ。お前も、片手で食ってみろ、味を良く解るようになるぞ?」
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