第九章 業

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「ふん、俺は遠慮しておくよ。俺はな、あっという間に口に入れてしまいたい方でな。」 「ふん、意地汚い奴め。まあ、お前には、良く似合っておるわ。」 いつもの軽口だが、三郎兵衛は慌てたようだ。きょろきょろと視線を泳がせている。 「旨いな!暖かい汁というのは、堪らんな。これは野草かな?」 「そうだな。野草と言えば、若殿の奥方は、野草を見事に選ばれるそうだ。女中達は、習ったりしているそうだぞ。」 「ほう、そうなのか。良き奥方の様だな。忠好、三郎兵衛、お前達は、奥方を見た事が有るのか?」
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