第九章 業

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「利孝様。ご苦労様にございます。」 忠好の眼に写る、礼を正した頼賢の姿からは、先程迄の軽さは消えていた。 この切り替えの良さに、思わず笑みが溢れそうになった。 「あぁ、良い。食事を続けてくれ。ご苦労だったな。我が隊には、何も被害が無かった。助かったぞ。」 「いえ、無事にお役目を果たすことが出来、胸を撫で下ろしておりました。」 「ふふ、謙遜するな。聞けば、いとも容易く、払いのけた様だな。」 「そんな事は。必死でございました。」 「ふふ、忠好。頼賢は、随分と猫を被っておるな?」
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