1 腕に触れて

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そんな雪乃を見て今度は歩美がクスクス笑う。 「澤田さん、すっきりした顔立ちだし背も高めだしモテるみたいだよね。でも全然彼女作らないらしい…。」 「知ってる、女嫌いとかも言われてるよね。」 う~ん?とふたりは顔を見合わせた。 「ま、それは無いと思うけど。 雪乃はこれからどうするの?」 「えっ、…どうもしないよ。 多分何も変わらない、と思う。」 そう言いながら雪乃は窓の外の、高く澄んだ空に目を向けた。 「今の距離で見てるのが、楽で、いいな…」 「…そっか、雪乃がそれでいいなら仕方ないけど、 そしたら澤田さんはず~っと雪乃の“背中の君”のままなのね…。」 歩美が少し大げさなため息を吐きながら言った。 「“背中の君”って…」 「“背の君”ならぬ“背中の君”、いいでしょ?」 「…いいけど」 満足気ににっこり頷いた歩美は、真顔にもどると雪乃に言った。 「私ね、雪乃に好きな人がいて本当に良かったと思ってるよ。」 「…ありがと」 ・
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