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そんな雪乃を見て今度は歩美がクスクス笑う。
「澤田さん、すっきりした顔立ちだし背も高めだしモテるみたいだよね。でも全然彼女作らないらしい…。」
「知ってる、女嫌いとかも言われてるよね。」
う~ん?とふたりは顔を見合わせた。
「ま、それは無いと思うけど。
雪乃はこれからどうするの?」
「えっ、…どうもしないよ。
多分何も変わらない、と思う。」
そう言いながら雪乃は窓の外の、高く澄んだ空に目を向けた。
「今の距離で見てるのが、楽で、いいな…」
「…そっか、雪乃がそれでいいなら仕方ないけど、
そしたら澤田さんはず~っと雪乃の“背中の君”のままなのね…。」
歩美が少し大げさなため息を吐きながら言った。
「“背中の君”って…」
「“背の君”ならぬ“背中の君”、いいでしょ?」
「…いいけど」
満足気ににっこり頷いた歩美は、真顔にもどると雪乃に言った。
「私ね、雪乃に好きな人がいて本当に良かったと思ってるよ。」
「…ありがと」
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