1 腕に触れて

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…そして3月 雪乃の言葉通り、澤田との関係は何も変わらないまま 季節は過ぎていた。 ただ歩美にはふたりの様子が以前と少しだけ変わったように見えた。 やはり雪乃は澤田の前では平静を装っていたけれど、それが妙に女の子っぽくて歩美には可愛かった。 驚いたのは澤田の雰囲気が柔らかくなった気がすることだ。 たまたま社員食堂で会った時も、多分鳥海から聞いたのだと思うが、歩美に結婚のお祝いの言葉を掛けた後、 「寂しくなるね、永山さん。」 そう言って雪乃に向けた表情がとても優しく見えた。 雪乃の気持ちを知るまでは澤田の事を気にして見ていなかったから確かな事は分からない。 でも出来れば雪乃にだけそうであって欲しいと歩美は密かに願った。 ・
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