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「河野さん、
ここの集計出しておいてくださいね。急がなくていいから間違いの無いように。」
「はい、わかりました。」
可愛い声の返事が返ってくる。
永山雪乃が指導する事になった新入社員の河野まゆは 仕事の飲み込みが早く要領も良いのだが、時々うっかりミスがあるのでその点を注意しながら指示を出す。
「私は営業課に届け物してきますね。」
そう言って、雪乃は頼まれていた書類を抱えて部屋を出た。
営業課はエレベーターホールを挟んで総務課のちょうど反対側あたりにある。
雪乃はエレベーターホールの大きな窓から見える空にふと足を止めた。
「…良い天気。
そういえば今年はゆっくり桜も見なかったな…」
4月も中旬を過ぎようとしていた。
公園に沿った桜並木ももう柔らかそうな新緑となっていた。
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