4 それぞれの気持ち

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ガチャン!と非常扉の大きな音が響いて、雪乃は力が抜けたようにその場にしゃがみ込んだ。 …出ていったのは城島さんだろう。澤田さんは?… 話が全部聞こえた訳ではないが、城島由佳里の高めの声はよく通るので、澤田が由香里の申し出を断ったのは雪乃にも分かった。 雪乃は空になった缶をぎゅっと握りしめた。 良かった、とは思わなかった。自分から近づいて行こうとする由香里は偉いと思った。 心の中の雪乃が歩美のメールに泣き言を返す。 …歩美。やっぱり私、ダメだよ。あんなに可愛いひとでも断られちゃうんだよ? どんな風に頑張ればいいの? わからないよ… 胸が痛かった。 そして雪乃に分かったのは、自分で思っていたよりずっと澤田洋介の事が好き、ということだった。 ・
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