3351人が本棚に入れています
本棚に追加
ガチャン!と非常扉の大きな音が響いて、雪乃は力が抜けたようにその場にしゃがみ込んだ。
…出ていったのは城島さんだろう。澤田さんは?…
話が全部聞こえた訳ではないが、城島由佳里の高めの声はよく通るので、澤田が由香里の申し出を断ったのは雪乃にも分かった。
雪乃は空になった缶をぎゅっと握りしめた。
良かった、とは思わなかった。自分から近づいて行こうとする由香里は偉いと思った。
心の中の雪乃が歩美のメールに泣き言を返す。
…歩美。やっぱり私、ダメだよ。あんなに可愛いひとでも断られちゃうんだよ?
どんな風に頑張ればいいの?
わからないよ…
胸が痛かった。
そして雪乃に分かったのは、自分で思っていたよりずっと澤田洋介の事が好き、ということだった。
・
最初のコメントを投稿しよう!