4 それぞれの気持ち

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次の日、澤田洋介は一日中外回りで雪乃に会う事はなかった。 城島由佳里との話を聞かれていたのかと思うと、顔を合わせるのが気まずくもあり少しホッとする。だが一方でどんな表情をするのか見たい気もしていた。 由佳里は一階の受付にいて、いつものように受付嬢らしくにっこり笑って挨拶をしてきたので、澤田もいつものように軽く会釈をして通り過ぎた。 割り切って仕事をするタイプなのかもしれない。回りが言うようにとても可愛いし、付き合えばきっと良いコなんだろう。 それでもメアドを教える位の簡単な一歩が何故か踏み出せない自分は真面目なのか、相変わらず臆病なのか、と澤田は思う。 ビルから出ると5月の明るい日差しが眩しかった。立ち止まり青空を仰ぐ。 …でも俺は自分の心が動き出すのを待ちたいんだ… ・
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