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澤田洋介が永山雪乃の姿を見かけたのは翌日の昼休みだった。
鳥海修平に誘われて社員食堂で昼食を取っていると、総務課の女子社員が四人と何故か山崎章吾が一緒に入ってきた。
その中に雪乃の姿があった。今日も髪を一つに結んでいる。
山崎にしきりに話しかけられて困っている様子なのはショートカットの若い女子社員だ。
「あのコが河野まゆさん?」
「あ、そうです。
あれは営業の山崎、ですよね。河野狙いなのかな?」
「ああ、可愛いって言ってたけど…」
そんな話をしているのが聞こえたかのように、山崎は二人に気づいてニコニコ笑いながら片手を上げた。
その様子を見て他の四人も澤田と鳥海に気付いたようだ。
鳥海と同期の女子社員が何かを言って皆がクスクスと笑った。
その笑顔のままで雪乃が二人に向かって軽くお辞儀をした。
「あいつら何笑ってんだ! …絶対俺の事だよな~」
鳥海はブツブツ言っていたが、雪乃が笑顔で挨拶してくれて良かったと澤田は思った。
「そういえば…」
澤田は少し前の鳥海との会話を思い出して聞いた。
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