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「あの、私が大学の時に父が亡くなったのは…」
「ああ、前に聞いたよ。」
脚立を降りた鳥海は、雪乃が抱えたままの箱を腕から抜き取って、側にあった台車に乗せた。
「あ、ありがとうございます。」
「それで?」
促しながら鳥海は脚立に軽く腰掛けた。
「それで、実は私がここに入社した年に兄が転勤になって家を出てたんですけど、」
「…うん。」
「でも仕方ないし、時間を見つけては帰って来てくれましたから、それほど大変でも無いと思ってました。」
「うん」
「それで、兄が最近元の営業所に戻ったので、家に帰ってきて、
妹もこの春から働き始めて…
少しだけ肩の荷がおりた気がしました。」
雪乃は笑って言った。
「やっぱり今まで結構力が入ってたみたいです。」
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