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「心配かけてすみません。
自分でも最近何だか変だなぁとは思ってたんですけど、会社では気を抜かないように頑張りますね。」
「いや、仕事でミスしたわけじゃないし…。
そういう事なら安心したよ。
お兄さん帰って来て良かったな。」
鳥海がそう言うと、雪乃はにっこり笑って頷いた。
「はい、ありがとうございます。」
「さて、じゃあ残りを片付けるか…。」
腰掛けた脚立からポンっと立った鳥海に、備品のリストを手にしながら雪乃が聞いてきた。
「鳥海さん、もしかして歩美から私のこと頼まれたりしました?」
「え、ああ、よろしくとは言われたけど…。」
「やっぱり…。どうも歩美から見ると、私は頼りないみたいなんですよね。」
「二年間ずっと一緒にいたから心配なんだよ。それに木本に言われたから気にしてるわけじゃないし…」
「そうですよね、鳥海さんはいつもみんなに気を配ってくれて…
会社にも頼れる兄がいるみたいで心強いです。」
そう言って笑う雪乃に鳥海は複雑な思いで笑い返した。
「…兄貴にはなりたくないんだよ…」
そう言いたいのに言えない自分が情けなかった。
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