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昼休み。
5月の公園は緑に溢れて、爽やかな風が木々の枝葉を揺らしていた。
ひとりだけれど久々の公園ランチで気分転換しよう、と思っていた雪乃だったが…
「…なんでこんな事に…」
雪乃は息を吐く音が聞こえないようにため息をついた。
胸がドキドキして気分転換どころではなかった。
目線を隣に落とすとレジャーシートに仰向けになって澤田洋介が昼寝をしている。
ワイシャツの袖を捲り上げた腕は体の上で軽く組まれ、スラリとした長い足は片膝が立てられていた。
こんな風に無防備に目を閉じている顔を見るのは初めてで、雪乃は思わずじっと見つめてしまう。
少し乱れた髪の手触りを想像してしまい、また顔が赤くなる。
木漏れ日が揺れるのを感じたのか瞼の辺りがピクッと動いて、澤田が片手を額の上に乗せたので、目を覚ましたのかと思った雪乃は慌てて前を向いた。
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