1 腕に触れて

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雪乃が入社した当初、澤田は総務課の2年先輩だった。しかし澤田はその秋には営業課に異動してしまったので、ふたりがこんなに長く話すのは本当に久しぶりだった。 三階に着いた時には息が切れ始めていた雪乃が「ふぅ~」と息を吐くのを見てクスリと笑った澤田は 「お疲れ様。じゃぁ…」 と会釈して営業課の部屋のある方へ歩いて行った。 軽くお辞儀を返した後、その背中をしばらく見送っていた雪乃だったが、はっと気づいた様子で女子更衣室のある廊下の方へ急いで歩き出した。
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