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「なるほど~
掴んだ腕の感触に男性を感じて、意識しちゃってそんなに顔赤くしてるわけね。」
その日の昼休み、
社員食堂の隅の席で、雪乃は歩美の質問責めに合い エレベーター事件や澤田洋介の事を全部聞き出されていた。
「でも澤田さんが気になってたなんて全然気がつかなかった。
でもあの人いまいち掴みどころが無いっていうか…
実は私ちょっと苦手だったのよね」
「え、そうなの?」
「うん、私は鳥海さんみたいにウェルカムな明るい人の方がいいかな」
鳥海修平は総務課の一年先輩で面倒見が良く 課のムードメーカー的な存在である。
「歩美の彼氏も似たタイプだものね、楽しくて」
「ふふっ…
って、私の好みはどうでもいいの!」
ラブラブな彼氏を一瞬思い出したらしい歩美を見て「あはは」と笑った後、雪乃はポツポツと話し始めた。
「…澤田さんは確かに気楽に話せるタイプじゃなかったけど、分からない事があって困ってた時とかさりげなく助けてくれたりして、いい人だなって。」
「うん、それは確かにわかる。けどそれだけじゃないでしょ?」
「…もちろん顔や雰囲気も、背中も好きだけど…」
雪乃の顔がまたみるみる赤くなっていく。
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