24.生まれ変わる音 

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「託実、大丈夫?」 一瞬の眩暈も今は落ち着いた。 視界が歪むこともない。 兄さんの問いかけに、ゆっくりと頷くと、 百花が眠るICUへと向かう。 ICUの前、雪貴とその彼女、 唯ちゃんの姿を捕らえる。 「来てくれてたのか?」 今更、気がついたかと主張せんばかりの 無言の睨みが雪貴から伝わる。 「託実さん、どうして」 隣にいる、唯ちゃんは突然の俺の登場に 言葉を失ってただ……俺と雪貴を交互に見つめる。 「唯ちゃん、久しぶりだね。  最近、調子はどう?  また体調が優れなくなったら何時でも私を頼って来るんだよ。  雪貴も順調そうだね」 にこやかに笑みを携えて、医者の顔で接する裕兄さん。 「裕先生……、どうして?」 唯ちゃんが助け舟を求めたのは兄さん。 兄さんが俺と百花ことを説明している間に 俺は奥から裕真兄さんに手招きされるままに 着替えと消毒を済ませて中へと入っていく。 「……百花……」 点滴の針が刺さる細い腕にゆっくりと触れて その指先に俺自身の指先を静かに絡める。 百花……、やっと捕まえた。 ★ 数日後、百花は手筈通り ICUを出て、役員棟の伊舎堂の特別室へと移された。 百花の意識は今も回復しない。 交通事故による一次損傷からの下肢の骨折。 第二次損傷からの頭部裂傷。 頭部へのダメージが思ったよりも経度だったのが、 検査の後の救いだった。 そして第三次損傷になる、転倒時の腹部損傷。 出血量が多くて、一時は危険な状態に陥ったらしい手術での出来事。 聞くだけで、 百花の身体への損傷が大きかったことは伺える。 何時目覚めるか、医者にもわからない。
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