24.生まれ変わる音 

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ただ俺に出来ることは、 何時、どんな状態で百花が目覚めても 俺がアイツを守ってやれるように準備を進めて置くこと。 高杉弁護士立ち合いの元、 百花の両親と喜多川会長の承諾を得て 婚約者として、被害者との話し合いにも顔を出す。 早々に示談を付けたいと望む保険会社は、 何度も何度も、顔を出してくるものの 現時点で、アイツにどんな後遺症が出るのかもわからない。 そんな現実の中で、保険会社からの圧力から満永夫妻や、 喜多川会長を守りながら、対応していく。 唯ちゃんを支える立場になった、 雪貴は送れながら休学していた高校にも復学を遂げた。 学校の合間に二人して病院に顔を出してくれる、 唯ちゃんと雪貴。 百花が眠り続ける部屋で、 俺はノーパソや機材を持ち込んで、 作曲活動や、編曲活動を続けていく。 隆雪の死の一件から、音楽から遠ざかっていた雪貴も、 相棒を持ち込んで、少しずつ俺の活動を手伝うようになってきた雪貴。 「託実さん、そこ……。  なら、こっちのフレーズはどうですか?」 譜面を走らせる隣で雪貴は小さな音で愛器を爪弾く。 その音を受けて、俺もベースを爪弾く。 「Taka、ちょっといい?  このフレーズとこのフレーズを続けて使うと、  流れてしまう気がするの。  だったら、こっちの方がまとまって聞こえない?」 今も現役の音楽教師を務める唯ちゃんが、 フレーズを口で紡いでいく。 「うん、そうだね。  なら俺は……こうだね。    あっ、でも……もしかして託実さん、  このフレーズ、兄貴だとこう弾きませんでしたか?」 そうやって雪貴が紡ぎだしたフレーズは、 理佳の告別式の日に、一度だけ演奏した隆雪のギターフレーズ。 「託実さん。    この曲……昔、理佳さんに送ったって言う  (星空と君の手)ですよね」 雪貴の言葉に静かに頷く。
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