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*
百花……早く起きろよ。
*
心の中、呟きながら静かに愛器を爪弾く。
そのフレーズに即興アレンジで
雪貴がギターを重ねていく。
時に……、雪貴自身のフレーズで。
時に……隆雪の懐かしい癖のあるフレーズで。
懐かしいのに……ブレも戸惑いも
迷いもない……澄み切った音色でストレートに
刻み込んでくる雪貴の生まれ変わったギターの音色。
そんな時間を送りながら、
百花の目覚めを待ち続ける。
一日、一日が、
とても長い待つだけの時間。
*
……百花……。
その唇に目覚めのキスを
降らせるるまで君は
起きないつもりなの?
*
眠り続ける百花の傍に腰をおろして、
その淡い薄桃色の唇に、静かに唇を重ね合わせる。
命を注ぎ込むように……
語りかけるように。
百花……朝だよ。
新しい世界が君を待ってるよ。
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