25.星空と君の手 

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懐かしい声が次々と聴覚を刺激していく。 その後、ふんわりと柔らかい感触が 唇に降り注いだ。 啄むように、パワーを注ぎ込んでくれるように 優しく降り注いだくちづけ。 ……託実……。 愛おしくて、溜まらなくなって その名前を叫んだとき、 ゆっくりと私の世界に光が差し込む。 その光の方へと、ゆっくりと手を伸ばすと 私は光の中へと吸い込まれていった。 「百花っ」 私の名を呼ぶ声と共に、 真っ先に飛び込んできた託実の姿。 託実……。 名前を紡ごうとしても、 その声は声にならない。 「百花っ!!」 次に聴こえたのは、唯香の声と姿。 体位を変えたくても、思い通りに動かせない私は 視線だけで、唯香の方を見つめる。 その後ろ、壁際に控えめにたって 唯香を心配そうに見つめる雪貴くん。 体の力を込めて、ゆっくりと右手に意識を集中させると 今度は、大きな窓の向こうに広がる星空へと手が伸ばせた。 星空の中、真っ白な翼を生やした お姉ちゃんが、笑いかけてくれた気がして。 そんな私の手を、託実の長い指先が絡め取るように 優しく包み込んでくれる。 「託実……」 ずっと出すことが出来なかった声が、 ゆっくりと発せられる。 「百花」 「百花ちゃん」 「百花や」 その後聞こえたのは、 お父さんとお母さんと、ずっと守ってくれたお祖父ちゃん。 私のベッドを囲むように、 顔を覗かせたお父さんとお母さんと、お祖父ちゃんの表情は凄く 疲れ果てているように見えた。 「心配かけて……ごめんなさい」 小さな声で呟く。
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