25.星空と君の手 

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「良かった……。  でも心配なんてしてないわよ。  百花のことは、理佳がちゃんと守ってくれてるって  お母さん、わかったもの。  ねぇ、お父さん」 「あぁ。  お父さんとお母さん……それにお祖父ちゃんも、  同じ夢を見たんだ。  百花が病院に運び込まれた日の夜に」 同じ夢? お姉ちゃんが私を助けてくれた時? お姉ちゃんは、お父さんやお母さん、 お祖父ちゃんの元にも出掛けてたの? 「そうじゃ。  夢の中で、理佳がずっといっとったぞ。  百花は私が守るから、  それが私が百花に出来る恩返し。  だから……お父さんや、お母さん、お祖父ちゃん。  皆も悲しまないで。  お祖母ちゃんも、百花が川を渡りそうになったら  追い返してやるって張り切ってたから」 お祖父ちゃんが教えてくれた話は、 凄く不思議だったけど、 それでも……お姉ちゃんが大好きな家族を守ってくれたのがわかって 凄く心の中が暖かくなった。 ふいにノック音が聴こえる。 「はいっ、どうぞ」 お母さんがそう言って招き入れたのは、 白衣姿の医師たち。 「裕真先生、宗成先生、薫子先生、  それに……裕先生……」 順番にお母さんが呟く名前。 白衣姿のその人たちは、 両親やお祖父ちゃんにお辞儀をすると、 私の眠るベッドの方へと近づいてきた。 「親父……おふくろ……。  それに……兄さんたちまで」 「百花さん、そのままでいいよ。  少し診察させて貰えるかい」 そう言うと、唯香の主治医だった人が 託実たちを私から遠ざけていく。
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