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「そろそろ俺も活動開始しないとな。
百花は俺がずっと居られなくても平気か?」
そんなこと質問するのってズルいよ。
託実。
そう言われたら、離れたくないって言うのは
当たり前じゃない。
だけど託実は……私だけの託実じゃないことは
沢山知ってる。
私もずっと託実を思い続ける、
その中の一人だったから。
だからちゃんと送り出さないと、
『大丈夫だよ』ってにっこりと。
「託実……平気だよ」
そうやって紡ぐ私の声。
だけど言葉とは裏腹に、
私の声は、涙声。
「嘘……つき」
「平気だよ。
託実が私のところにちゃんと帰って来てくれるなら、
唯香や、お父さんたち、託実のお父さんたちと待てるから。
後は、お姉ちゃんとも一緒に」
そうやって告げると、託実はもう一度
先ほどよりも長い口づけを降らせた。
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