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先生としての立場ではなく、一介の剣士として死合をしたがっている。その高ぶった気持ちを抑えるべく口にした。しかし返って来た答えは意外なものだった。
「流派名はありません」
「ない?」
「はい。幼少の頃よりその業(ワザ)だけを教えられました」
地位や名声などを得としない流派…。そんなものが果たして実在するものなのか、そして実在したとしたらそれは一体どのような剣なのか。
気を少し紛らわせるつもりが、余計に自らの気を高ぶらせてしまった。
無名の流派が使う抜刀術。剣士としてなんとも興味深い未知の領域ではないか。想像ばかりが一人歩きしそうだ。それでなくてもこの者は強いと直感しているというのに。
「…そうですか。見てみたいですね、その無名の流派の業とやらを…」
さらに油を注ぐ言葉が放たれる。
「鬼、ならば…」
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