隙間

16/18
493人が本棚に入れています
本棚に追加
/109ページ
夢をみた。 高峰くんと僕がいて、いつまでも笑っている夢。 悲しみも不安もない世界。 満ち足りた幸福感。 ずっとここにいたい―…。 「…ナ。カナ」 「ん……?」 意識の向こうで名前を呼ぶ声が聞こえて、僕はうっすら目を開けた。 寝ぼけた視界に映ったのは、優しく微笑む高峰くんで、僕は夢の続きを見てるような錯覚に陥った。 「おはよう。カナ」 「え…?」 にっこり笑う彼を見て、ようやく辺りが鮮明に映り、意識がはっきりした僕は慌てて起き上がった。 「た、高峰くん!おっおはよう!」 そうだった!ここは高峰くんの部屋で僕達は昨日…! 「おはよ。身体大丈夫か?」 「あ、うん!あちこち痛いけど…」 これは筋肉痛かな? 「今日は休みだし、二人でゆっくりしよ?」 「うん!」 その日は彼の部屋でDVDを観たりしながら1日を過ごした。 こんな穏やかな休日は、今までなかったと思う。 隣にいる彼と目が合った時、あったかく微笑んでくれて、僕は胸がきゅうっと締めつけられる感覚がした。 ああ…これは夢じゃないんだ。  
/109ページ

最初のコメントを投稿しよう!