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夢をみた。
高峰くんと僕がいて、いつまでも笑っている夢。
悲しみも不安もない世界。
満ち足りた幸福感。
ずっとここにいたい―…。
「…ナ。カナ」
「ん……?」
意識の向こうで名前を呼ぶ声が聞こえて、僕はうっすら目を開けた。
寝ぼけた視界に映ったのは、優しく微笑む高峰くんで、僕は夢の続きを見てるような錯覚に陥った。
「おはよう。カナ」
「え…?」
にっこり笑う彼を見て、ようやく辺りが鮮明に映り、意識がはっきりした僕は慌てて起き上がった。
「た、高峰くん!おっおはよう!」
そうだった!ここは高峰くんの部屋で僕達は昨日…!
「おはよ。身体大丈夫か?」
「あ、うん!あちこち痛いけど…」
これは筋肉痛かな?
「今日は休みだし、二人でゆっくりしよ?」
「うん!」
その日は彼の部屋でDVDを観たりしながら1日を過ごした。
こんな穏やかな休日は、今までなかったと思う。
隣にいる彼と目が合った時、あったかく微笑んでくれて、僕は胸がきゅうっと締めつけられる感覚がした。
ああ…これは夢じゃないんだ。
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