隙間

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「おはよー佐々木くん!と良太」 「おはよう。七瀬さん」 「俺はついでか」 休みが明けて学校に行くと、七瀬さんが明るくやってきた。相変わらずいい匂いを振り撒いて。 「はよ」 その後松岡くんも眠そうに教室に入ってきた。 「おっす!」 「おはよう。松岡くん」 「おう。……わだかまりは解けたのか」 僕たちの様子をじっと見て彼は言った。 「おかげさまでー」 「ふーん。良かったな」 「おう!」 わだかまりって避けてたことだよね。あからさまだったからな…。 「まぁ結果的に俺達の絆がより深まったっていうか?」 「…!」 彼は意味深な笑みでこっちをチラリと見てきて、休日の光景を思い出して赤面する僕。 「…やらしい」 僕たちのやりとりを見ていた七瀬さんが、そう呟いた。 「え?」 「いやー私の佐々木くんを汚さないでー!」 「テメッいつからお前のになったんだよ!カナは俺の!」 「ふん!つまんない独占欲振りかざしちゃって鬱陶しいわ!」 「うっせー!悪いか!」 また始まった…。この二人の口喧嘩に少し慣れてきたみたい。 結構日常茶飯事だから。 「佐々木」 「ん?」 「良かったな」 「……うん。ありがとう」 松岡くん…言葉は少ないけど、全て理解しているみたいに、その一言一言にたくさん詰まっている気がする。 松岡くんや七瀬さんも、変わらずそばにいてくれて、僕は救われた。  
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