夏休み

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…拗ねてる、のかな? ちょっと分かってきたかも。 彼がすごいヤキモチやきだって。 七瀬さんが前にそんなこと言ってた気がする。 高峰くんと誰かを比べたりしないのに。 「さあ、どうだろうね?」 「なっ!?おい!」 わざとそう言ったら彼が僕に向かってきたので、慌てて逃げた。 「わーごめん!冗談だって!高峰くんが一番です!」 「許さん!」 後ろからガシッと捕まり、くすぐられて笑いが止まらなかった。 「あはは!やめっ!許してー!」 何とか逃れようと身体をくねらせるが、彼は容赦なく手を休めてくれない。 「!!」 と思ったら、ぎゅっと後ろから抱きしめられた。 ドキッとして、急に緊張が走った。 「初めて見た。カナが思いきり笑ってるとこ」 「え…?」 「控えめに笑うとこしか見たことなかったから。嬉しい」 「…高峰くん…」 こんなに笑えるのは、高峰くんのおかげだよ。高峰くんがいるから、たくさん笑うことが出来るんだ。 「もっと色んなカナが見たい。もっと見せて」 「え……」 振り向かされて触れる唇。 「ん…っ」 甘く熱く、とろけてしまいそうになる。 「宿、題は…?」 「後で」 「あっ…!」 彼の腕に包まれてしまうと、僕はもう抗えない。 一度覚えた快楽は、僕をおかしくさせる。 僕が僕じゃないみたいに、身体が反応してしまう。 「カーテン、閉め…てよ」 「ダメ。ちゃんと見たいから」 「や、だ…ぁ!」 外はまだ明るく、太陽が眩しさを強調していて、恥ずかしい気持ちがあるのに、感じたことのない快感が勝り、僕は彼に身を委ねるしかなかった。  
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