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そして花火大会当日。
「うわー人多い」
「祭りだからな。はぐれるなよ」
「うん」
人ごみは苦手だけど、高峰くんが隣にいてくれるから大丈夫だ。
「なんなら手繋ぐか?」
「い、いいです!」
「恥ずかしがらなくていいのにー」
手なんて…。
本当は繋ぎたいけど、誰が見てるか分からないし…。
「腹減ったな~。たこ焼き食おうぜ!」
「うん」
高峰くんは、たこ焼きだけじゃなく焼きそばやフライドポテト、唐揚げなど目にとまる食べ物を次から次へと買って食べていた。
「よく食べるね」
「おう。祭りで食う飯は美味いんだよな」
「あーそれ分かるかも」
「だろ?あっ、りんご飴!」
目を輝かせて、何か子どもみたいだなぁ。
よっぽど祭りが好きなんだろうな。
高峰くんがこんなに食べる人だったなんて知らなかった。
「はい。カナ」
彼は買ったりんご飴を僕に差し出す。
「え?僕に?」
「うん」
「ありがとう」
りんご飴、初めてだ。実は食べてみたかったんだよね。
一口食べると、飴の甘い味が広がった。
「カナ、りんご飴似合うな」
「へ?」
…どういう意味だ?
子どもっぽいってこと?
「あ、もうすぐ花火始まるんじゃないか?」
「本当?」
「よく見える場所知ってんだ。行こうぜ」
「うん」
先に歩き出した高峰くんのあとをついて行こうとした時だった。
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