494人が本棚に入れています
本棚に追加
「松岡くんて、高峰くんと同じ中学だったんだよね？」
「ああ。そうだよ」
「じゃあ……ゆりえさんて知ってる？」
「ゆりえ？」
ゆりえという名前にすぐピンとこなかったらしく、少し考えて彼は言った。
「あー安藤のことか」
安藤ゆりえ…やっぱり中学の同級生なんだ。
僕の知らない彼を知ってる人…。
「会ったのか？」
「うん…」
「あーそれで…」
「あの二人って、前に…その、付き合ってたの？」
ドキドキしながら聞いてみた。
本当は知りたいけど知りたくない複雑な気持ちだった。
すると松岡くんは、
「さあな。本人に直接聞けば」
と言った。
「え？」
何で…。
「お前さ、その一歩引いちゃうクセ何とかなんないの？そりゃ性格はすぐに変えられないだろうけどさ。今だって、追いかけてきてくれるのを待ってんだろ？甘えてばっかじゃ、お互い成長しねぇぞ」
「……」
「気になるなら不安ならあいつにぶつければいい。逃げてたって、何も変わらないよ」
「……っ」
はっきりした彼の言葉が、胸に刺さった。
その通りだったから。
何も言えなかった。
「まぁまだ始まったばかりだから、これからだと思うけど」
「うん…ありがとう」
松岡くんて、大人だな。
僕が子どもなのかな。もっと成長しなきゃ。一人でうじうじ悩むのは僕の悪いクセだ。
松岡くんに今日会えて良かった。
最初のコメントを投稿しよう！