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「どこ行きますか?」
会ってすぐにホテルもがっついてる風に思われるのもイヤだし…。
『とりあえず、お茶しましょうか?』
「じゃあ、近くのカフェに行きましょうか?」
カフェに移動。
「ここにする?」
Sが指したところは一流ホテルのカフェ。
ココ!?
こんなとこ普段でも行った事ないよ。
やっぱ、出張ホストって金持ちが利用するんだな。
私みたいな庶民が利用するのが間違いだったんだ。
『うん。いいよ』
妙な見栄を張って承諾した。
ウェイターにかしこまって席へ案内され、メニューを見る。
コーヒー ¥800
世のサラリーマンのランチ代より高いコーヒー。
回りのお客さんはどことなく上品な方達ばかりだった。
奥様方は旦那が働いてる間に旦那のランチ代より高いコーヒーを飲んでくつろいでいらっしゃる。
今だからイヤミの一つも言えてるが、当時はSへの緊張+ホテルの緊張で沈黙状態だった。
Sがずっと喋ってた。
自分の事やお客さんの事。
お客さんの事を喋るのはタブーなんだけど、業界の事を全く知らなかった私は「出張ホストは誰でも気軽に利用できるって意味でに話してくれてるんだ」って思ってた。
お互いの飲み物も減ってきた。
カフェに入ってからもう少しで1時間が経とうとしてた。
出張ホストの料金はけして安くない。
このカフェで過ごした時間で、私の一日の給料ぐらい。
時間もお金も有意義に使いたかった。
そろそろ移動したいなぁ。
でも、きっかけがわからない。
「次どうしますか?」
『……』
Sがふってくれたけど恥ずかしくて言えない。
「…メールで言ってた事しますか?」
『…うん』
「じゃ、行きましょうか」
カフェを出て、ホテル街へ移動した。
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