深紅の薫り

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 それでも私は前に進んだ。  ズルズルと髪を引きずりながら。  ゾリゾリと膝の肉を削りながら、少しずつ、少しずつ前に進んだ。  いやだ……! かえる……! おかぁさん……! 「あ。クマタケさん。コイツまだ逃げる気みたいっスよ?」 「あぁん。チッ、いい加減ウゼぇんだ、よっ!!」  後から髪が掴まれて、無理矢理身体を起こされた。  ブチブチと嫌な音がする。  いだいよぉ!! ……だれかっ……!  助けを呼ぼうとしたが、私の口からは壊れた空気入れの様な音しか出ない。  私の体力は、もう限界を迎えていたのだ。
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