深紅の薫り

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 ネオンの光が遠くに滲(にじ)む夜の都会で、冷たい闇の中を私は必死に走っていた。  はだけた制服も、破けたスカートも、今は気にしてはいられない。  ずっと前から壊れそうな心臓も、焼け付いた喉も、今は気付かない振りをしてごまかしている。
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