深紅の薫り

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     ふと気が付くと、今まで私を追い掛けていた車やオートバイの音が消えていた。  “助かった”  そんな言葉が過(よ)ぎった瞬間、酸素が足りずに手足だけで無く思考も麻痺し始めていた私の身体は、走る事も考える事も止めて、その場に両手をついて崩れ墜ちた。
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