深紅の薫り

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「あっれぇ~。もうギブアップなのかぁ~」  そんな下品で人を馬鹿にした男の声が、後ろから聞こえた気がした。  気のせいだ、きっと何かの聞き間違いだ。  そう自分に言い聞かせ、ゆっくりと首を捻り、走るのを止めてから初めて、私は背後を振り返った。
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