120人が本棚に入れています
本棚に追加
文明が頂点に達した惑星イグリエガ。かつて人類が全てをほしいままにしていた世界は、今や干からびた大地、土煙に霞む地平線、汚れた海。それが惑星イグリエガ。死にかけた星――。
命が息を潜ませる暗闇の中、この絶望的な世界からいくつかの光、希望が打ち上げられた。爆風、爆音とともに人類を救う最後の望みが大空の彼方へ消えていく。
「やった」
「成功なの?」
土埃にまみれた男は隣に立つ女と固く抱き合い、拳を突き上げて歓喜した。
「どうか、届いてくれ」
男のメッセージは焔の尾を夜空に残しながら一気に大気圏を抜け、一つの星光となった。目指すは兄弟の星、命の星アビータ。今、この男女の行動でイグリエガの運命が動き始める。世界を巻き込む慟哭の運命へと。
最初のコメントを投稿しよう!