第2話 片腕のない青年

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くぴくぴと何回かに分けて、水を飲み干した。 この時に初めて喉が渇いていたのだと悟る。 青年はニコリと笑い、口を開いた。 「水、新しいの持ってくるから、スープ飲めたら飲んで」 青年は空になった水の入っていたコップを持って部屋から出て行った。 青年が居なくなり、肩の力が抜けた。 緊張をしていたらしい。 あの青年が何者なのか…… ただ、あの青年が自分を助けてくれたということは分かった。 「お礼…… 言わないと……」 ポツリとそんなことを呟き、ふとコーンスープに目を向ける。 「……食べてみよ……」 おいしそうな匂いに食欲をそそられ、スープの器とスプーンを手にし、一口飲んだ。 その刹那、あの紅い世界が鮮明に蘇った。 「ぐっげほ!!」 つい先ほど飲んだ水でさえも全て吐き出してしまった。 口を押えて塗れた手が赤く見える。 「あっ……ああ……」 その時カチャッとドアが開いた。 「どうしたの?」 キルには青年の姿が血に染まった父親の姿に見えた。 「あああああ!!! ごめんなさい!!ごめんなさい!!」 キルは頭を抱え、突然叫びだすした。 青年は驚き、暫くその場に立ち尽くしていたが、すぐにキルの傍に行き、優しくキルを抱きしめた。 「大丈夫だよ 大丈夫……」
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