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嫌だ……嫌だ……っ嫌だ!!!
「やめろぉぉぉお!!!!」
出せる限りの大声で叫び、駆け出した。
妹は上に放り投げられ
ザンッ!!
キルの上に赤い雨を降らし、一瞬にして真っ二つの肉塊になった。
「あーあ
大人しくしてりゃあと十秒は生きられたのになガキ」
男がサーベルを握り肘を引いた。
「逃げなさい!!!」
屈辱と痛みにボロボロの姉が叫んだ。
持ち前の反射神経の良さで脳天を狙われたが右目を抉るだけでどうにか生きれた。
悩む暇なんてなかった。
姉に言われた通り、キルは猛然と駆け出し、子供とは思えぬ速さでその場を逃げ去った。
男達の中の一人が追い掛けようとしたが
「ほおっておけ
どうせこの寒さとあの怪我じゃすぐに死ぬ」
キルを追いかける追っ手が来ることはなかった。
キルの記憶には紅い家族の記憶ばかりが鮮明に残った。
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