柑橘系被害

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『佐藤君のほっぺた、柔らかい』  俺の上に乗るように寝転んでる桂木さんが、ほっぺたをつつく。 『私、重たくない?』  心からそう思っているのなら早くどいてほしい。   『ねえ……もう一回、キスしよ───』 「───ッ!!」  ハァ、ハァ……夢……?  いや、違う。  あれは昨日のこと……桂木さんと、俺…… 「ああッ、もう……」  ……あのみかんの匂いだな、俺の理性をダメにしたのは。  桂木さんの口から匂った、あのみかんで。  ……みかんクサい。俺の口からまだみかんの匂いがする。  ……あああ、やっちまった。  ♪~♪♪  メール……誰? まだ6時20分なのに。 『おはよ』  ……知らない宛先。イタズラか。無視無視。  学校休もうかな、今日は。桂木さんに会いたくないし。  そうしよ。  という訳にもいかず、布団で寝ているところをお母さんに起こされてしまった。  嫌々顔を洗い、嫌々朝ごはんを食べ、嫌々髪をとかし、嫌々歯を磨き、嫌々制服に着替えて、嫌々した気持ちでドアを開けた。 「行ってきまーす」  ガチャ。 「おはよ」  ガチャ……。  あれ? 嫌々過ぎてついに幻覚を見るようになったか?
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