2812人が本棚に入れています
本棚に追加
/114ページ
『佐藤君のほっぺた、柔らかい』
俺の上に乗るように寝転んでる桂木さんが、ほっぺたをつつく。
『私、重たくない?』
心からそう思っているのなら早くどいてほしい。
『ねえ……もう一回、キスしよ───』
「───ッ!!」
ハァ、ハァ……夢……?
いや、違う。
あれは昨日のこと……桂木さんと、俺……
「ああッ、もう……」
……あのみかんの匂いだな、俺の理性をダメにしたのは。
桂木さんの口から匂った、あのみかんで。
……みかんクサい。俺の口からまだみかんの匂いがする。
……あああ、やっちまった。
♪~♪♪
メール……誰? まだ6時20分なのに。
『おはよ』
……知らない宛先。イタズラか。無視無視。
学校休もうかな、今日は。桂木さんに会いたくないし。
そうしよ。
という訳にもいかず、布団で寝ているところをお母さんに起こされてしまった。
嫌々顔を洗い、嫌々朝ごはんを食べ、嫌々髪をとかし、嫌々歯を磨き、嫌々制服に着替えて、嫌々した気持ちでドアを開けた。
「行ってきまーす」
ガチャ。
「おはよ」
ガチャ……。
あれ? 嫌々過ぎてついに幻覚を見るようになったか?
最初のコメントを投稿しよう!