2812人が本棚に入れています
本棚に追加
/114ページ
「佐藤君は……いつもこの道を歩いて、学校に通ってるの?」
「え……そうだけど」
「そうなんだ」
? 何で急にそんなこと……
「覚えとこ」
…………どうして覚えるのか、それについては気にしないでおこう。
「あ、それと佐藤君……」
……今度は何ですか、改まって。
「私……昨日のが、ファーストキスだったんだよ」
……ダメダメ。落ち着け、落ち着け俺。
良いか、どれだけ頬を赤らめて上目遣いをされてそんなことを言われても、落ち着くんだ、俺。
「その相手が、佐藤君で良かった。しかも……二回───」
「か、桂木さん?」
焦り過ぎて声が裏がってしまった。
「ん?」
「ごめん、あのさ……あの」
頑張れ、ここで非情にならなきゃ。
「朝は、一人でゆっくりしたいタイプなんだ、俺。だから……迎えにこなくてもいいよ」
それが事実だし、周りの目も気になるし、何より……迷惑だ。
「……そっか、わかった」
あーあ、俯いちゃった。わかりやすい反応だな、桂木さんて。
「……遠くから見るようにする」
「え、何て?」
「ううん、何でもない」
? 小さ過ぎてよく聞こえなかったけど、いっか。気にしなくても。
最初のコメントを投稿しよう!