柑橘系被害

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「佐藤君は……いつもこの道を歩いて、学校に通ってるの?」 「え……そうだけど」 「そうなんだ」  ? 何で急にそんなこと…… 「覚えとこ」  …………どうして覚えるのか、それについては気にしないでおこう。 「あ、それと佐藤君……」  ……今度は何ですか、改まって。 「私……昨日のが、ファーストキスだったんだよ」  ……ダメダメ。落ち着け、落ち着け俺。  良いか、どれだけ頬を赤らめて上目遣いをされてそんなことを言われても、落ち着くんだ、俺。 「その相手が、佐藤君で良かった。しかも……二回───」 「か、桂木さん?」  焦り過ぎて声が裏がってしまった。 「ん?」 「ごめん、あのさ……あの」  頑張れ、ここで非情にならなきゃ。 「朝は、一人でゆっくりしたいタイプなんだ、俺。だから……迎えにこなくてもいいよ」  それが事実だし、周りの目も気になるし、何より……迷惑だ。 「……そっか、わかった」  あーあ、俯いちゃった。わかりやすい反応だな、桂木さんて。 「……遠くから見るようにする」 「え、何て?」 「ううん、何でもない」  ? 小さ過ぎてよく聞こえなかったけど、いっか。気にしなくても。
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