柑橘系被害

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「……で、次は教科書の図.24をノートに……」  あーダメだ。全然授業に集中出来ない。  ま……集中出来ないのはいつものことだけど、今日はそれだけじゃない。やる気も出ない……のもいつものことか。  今は……まだ授業が始まって10分も経ってない。  もういい、寝よ。化学とか、あとで誰かにノート見せてもらえばいいし。  腕を枕に。この二の腕がぷにぷにしてて気持ちいい。  ……さすがにもう、口からはみかんの匂いはしないか。 「亮太、亮太ー」 「え、え……お」 「起きろよ。昼飯だぞ」  昼飯か、早いな……昼飯?  12時25分。教室の時計はそう教えてくれた。 「起こせよ……」 「誰だ? 絶交なんて言ったの」  ……さーせん。  あ、化学の教科書出しっぱなし。机に直して……あれ、教科書がちゃんと入らない。  何かに引っ掛かってる。 「……」 「どうした? 机の中見て固まって」 「……いや、何でもない」  なぜ、みかんが入っている?  あれか、新手のイジメか?  誰だよ、机の中にみかんなんて入れた……  俺の視界に、弁当と一緒にみかんを机の上に置いている桂木さんがいた。  ああ、ね。あの人だ。多分だけど。  俺は周りにバレないよう、さっとみかんを指定バックの中に入れた。  見つかったら何言われるかわかんないし。
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