2812人が本棚に入れています
本棚に追加
/114ページ
「……で、次は教科書の図.24をノートに……」
あーダメだ。全然授業に集中出来ない。
ま……集中出来ないのはいつものことだけど、今日はそれだけじゃない。やる気も出ない……のもいつものことか。
今は……まだ授業が始まって10分も経ってない。
もういい、寝よ。化学とか、あとで誰かにノート見せてもらえばいいし。
腕を枕に。この二の腕がぷにぷにしてて気持ちいい。
……さすがにもう、口からはみかんの匂いはしないか。
「亮太、亮太ー」
「え、え……お」
「起きろよ。昼飯だぞ」
昼飯か、早いな……昼飯?
12時25分。教室の時計はそう教えてくれた。
「起こせよ……」
「誰だ? 絶交なんて言ったの」
……さーせん。
あ、化学の教科書出しっぱなし。机に直して……あれ、教科書がちゃんと入らない。
何かに引っ掛かってる。
「……」
「どうした? 机の中見て固まって」
「……いや、何でもない」
なぜ、みかんが入っている?
あれか、新手のイジメか?
誰だよ、机の中にみかんなんて入れた……
俺の視界に、弁当と一緒にみかんを机の上に置いている桂木さんがいた。
ああ、ね。あの人だ。多分だけど。
俺は周りにバレないよう、さっとみかんを指定バックの中に入れた。
見つかったら何言われるかわかんないし。
最初のコメントを投稿しよう!