柑橘系被害

7/8

2812人が本棚に入れています
本棚に追加
/114ページ
 昼休みも、相変わらず桂木さんからの視線は感じた。  ただ違ったのは、その視線が今までよりも強く感じたことだ。 「……なんか、いつもに増してお前の方見てるな。みかんちゃん」 「佐藤が好きなんじゃねーの?」 「……ハァ」  ため息しか出ない。  午後の授業は真面目に受けた。  桂木さんからの視線を、わざと無視しながら。  ……下校のときもやっぱりついてくるのかな。  キーンコーン、カーンコーン。  そして、下校。 「亮太、帰るぞー」  帰るぞと言われても、クラブ組の奴らとは校門まで。  それからは、一人になってしまう。  あー、やっぱり。後ろから足音が聞こえる。  この路地を通って帰るのは、いつも俺だけのはずなのに……。  チラッと、後ろを見る。  あー……いる。電信柱とかに隠れながらついてきてる。  これじゃ、まるでストーカーされてるみたいだ。 「……」  結局、そのまま桂木さんに後をつけられながら家に帰った。  変に絡むとアレだし、こういうのは無視するのが一番。
/114ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2812人が本棚に入れています
本棚に追加