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でも、何でそんな噂流れてるんだろ……。
私の努力が周りに伝わったのかな。
嬉しいな……だって、周りからすれば、今私と佐藤君は付き合ってるって思われてるんだもん。
佐藤君は……その噂を聞いてどう思ってるんだろ。
正直、不安ばかりだ。
私のしてる行動で佐藤君に迷惑を掛けてるんじゃないか。
私のしてる努力で佐藤君に嫌われるんじゃないか。
その場に屈んで、指定バックの中から一つ、みかんを取り出す。
不安なときはいつもみかんを食べる。
みかんは好き。
形、味、名前、全部好き。
佐藤君……今日もみかん食べてくれた。
嬉しい。佐藤君、そろそろみかん好きになってくれたかな?
私が好きな物は、佐藤君も好きになってほしい。
『桂木さんは、どう思う?』
私……私は。
みかんをパクッと、一口で食べる。
伝えなきゃ、私の気持ち。
サッとその場を立ち上がり、走って佐藤君を追い掛けた。
走ってまもなく、玄関に入ろうとする佐藤君が視界に入る。
待って……!
私の想いが届いたのか、佐藤君は玄関に入る手前で、私の方を見てくれた。
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