柑橘系噂話

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「あ、じゃあ……俺帰るね」  変に気まずい雰囲気が流れたので、そろそろ家に戻ろう。 「うん……ばいばい」 「……バイバイ」  桂木さんに背を向けて、玄関に入ろう……としたときだった。  ガチャ。 「? 亮太、帰ってきてたの……あら、こんにちは」  まさかのタイミングで、お母さんが扉を開けて出てきたのだ。 「あ、こんにちは」  お母さんに挨拶を返す桂木さん。 「初めまして、亮太の母です」  桂木さんに自己紹介するお母さん。 「……」  その間に挟まれる俺。  ……あ、何か悪い予感する。 「可愛い子ね、亮太のお友達?」 「あ、はい。そうです」  僕と桂木さんは友達だそうです。桂木さん曰く。 「良かったら上がってく? 茶菓子くらいならあるわよ」  ちょちょちょ! え、何言ってんのこの人!?  そんなこと言ったら、桂木さんのことだから…… 「あ……はい。おばさまがよろしければ、お邪魔させていただきます」  お、おばさま…………。 「おばさまだなんて。遠慮しなくていいから、どうぞ」 「はい、お邪魔します」  俺を置いて、お母さんと桂木さんの二人で家の中に入って行った、  あー……さっきした悪い予感、これかぁ。  ……ていうか、お母さんどっかに出掛けるんじゃなかったの?
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