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それは授業中も、昼休みも、下校中も、ずっと桂木さんからの視線を感じるからだ。
最初は俺に気があるんじゃないかと思って、調子に乗っていた……けど。
桂木さんから感じるその視線は、『見る』というより『視る』に近く、まるで監視でもされてるのかというくらい強いものだった。
そのせいでだんだん気味が悪くなってきて、今じゃ桂木さんの方は全く見ない。
でも、好きな人に見られてるということで、気味が悪い中にも嬉しいという気持ちもあった。
それと一緒に、どうして俺の方を見ているのか不思議で仕方なかった。
新学期が始まって、一週間。
七限目、国語。
今も桂木さんからの視線は感じている。
もちろん周りも気付いていて、からかう奴もちらほら。
キーンコーン、カーンコーン。
「はい。授業終わり。じゃあ次の授業で新クラスの実力を測る小テストするから。赤点は補修よ。頑張って」
赤点は補修……やばいな。
「亮太ー、帰るぞー」
「悪い、俺国語の勉強してくから、先帰ってて」
「おう、じゃあな」
「バイバーイ」
「バイバーイ」
勉強……図書室でするか。
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