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「……」
……すごい見てくる。
顔だけ出してこっちをものすごい見てくる。
無視無視、相手にしちゃダメ。
「……佐藤君て、小五まで妹とお風呂に入ってたんだね」
───ッ。
反射的に扉の方を見ると、桂木さんの姿はどこにも無かった。
……何で俺汗掻いてるんだろ
あれか、冷汗ってやつか。
「早く、掃除しよ」
「うわ、びっくりした!」
「……そんなに驚かなくても」
いやいや、驚くでしょう。
さっきまで扉の向こうにいたはずの人が、すぐ後ろにいるんですよ?
普通なら出来な……普通じゃなかったな、桂木さん。
「佐藤君、この間岡崎さんと一緒に職員室と行ったでしょ」
職員室? ……ああ、あのときか。
さてと、掃除掃除。
「ダメだよ、私以外の女の子と6秒以上会話しちゃ」
あんた、俺の何なのさ。
ええっと、塵取りは……あそこか。
「……無視、しないで」
……ダメですよ。そんな可愛い顔して言っても。
桂木さんと話してたら、ペースを持ってかれるから。
先週のこと。俺の家に上がった桂木さんは、何やかんやで晩ご飯まで食べていった。
何やかんやは、何やかんやです。
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