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そこで何か俺の家族とすごい親しくなるし……ハァ。
お母さんは彼女だと思ってるし……ハァ。
最近、ため息が増えた気がする。
黙々と掃除をし終わって、放課後。
一人で校門をくぐり、家を目指す。
後ろから桂木さんがついてきているが、一人で帰っている。うん。
……ちらっと後ろを見る。
いた、電信柱に隠れてる。
…………急に振り向いたら、どうなるだろ。
と思ってしまえばすぐ行動。
立ち止まり、勢いよく後ろを振り返った。
「あ……」サッ
電信柱から出ようとしていたところで目が合い、桂木さんは急いで電信柱に戻る。
電信柱からひょこっと顔を出して、こちらを伺う。
……可愛い。
ふと思ってしまった。
ただ、スカートや指定バックが電信柱からはみ出てて全然隠れれてないけど。
それにそんなとこに立ってるから、ただの頭の悪い人にしか見えないし……。
何か……可愛いんだけど、可哀想に見えてきた。
「桂木さん、一緒に帰る?」
気付いたら声に出していた。
この通学路は誰も通らない。
だから、この道からなら桂木さんと歩いてても周りの目を気にしなくて良い。
だからかな、こんなこと言ったの。
「……うん」
驚いた顔をしながら電信柱から出てきて、俺の近くまで駆け寄る。
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