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「どうしたの、急に?」
「いや、特に理由は無いよ」
そう言いながら歩きだすと、少し遅れて桂木さんも歩み始めた。
……こうして並んで歩くの、4月以来だ。
「嬉しい……」
「?」
「佐藤君と、こうして並んで歩けて」
「こんなことで嬉しいなら、いつでも歩いてあげるけどね」
「ッ、ホント!?」
え、ああ……ええっと。
「ねえ、ホント?」
話の流れで、冗談混じりな感じで言った……なんて、こんなキラキラした顔されちゃ、言えない。
「ひ、一つだけ約束して」
「何?」
「……俺を困らせないこと。わかった?」
少し上から目線で言ったこの言葉。
「……うん。わかった」
少し考える素振りを見せてから、笑顔で頷いた。
……これで良かったのかな。
「♪~♪♪」
気分が良いのか、鼻唄を歌い始める桂木さん。
ま、いっか。桂木さん、喜んでくれてるみたいだし。
そのあと、何やかんやでまた桂木さんが俺ん家で晩ご飯を食べていた。
何やかんやは、何やかんやです。
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