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「……出来ました」
ルーとご飯を7:3の割合でよそったお皿を、俺の前に置く。
……見た目は良い。匂いも悪くない。
「美味しそう」
思わず声を漏らしてしまうほど、美味しそうだった。
「飲み物は、オレンジジュースとみかんジュース、どっちがいい?」
……え、それってどう違うの?
「……じゃあ、オレンジジュースで」
「じゃ、私もオレンジジュース」
……まあ、何か違いがあるんだろ。みかんちゃんにしかわからない違いが。
オレンジジュースとコップ二つ、レンジで温めたタッパーにご飯を机に運んだところで、桂木さんは俺の前に座った。
「はい、スプーン」
「ありがと」
「…………」
スプーンを俺に渡すと、桂木さんの顔が少し不安そうな表情に変わる。
……食べていいのかな?
「じゃあ、いただきます」
「……召し上がれ」
ご飯とルーを均等にスプーンでよそう。
さて……どれほどのものか。
ゆっくりと口へ運ぶ。
「……どう?」
身体を前のめりにして聴いてくる桂木さん。
…………うん。
不味くはない。味がしないから。
「美味しいよ」
笑顔で答える。
桂木さんはストーカーという点以外では完璧な人だから、料理の腕も期待してしまった。
……料理はそんなに上手じゃないんだな。
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