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そして昼休み。
いつものメンバー3人と同じ机で弁当を出す。
机を3つ挟んで隣には桂木さん。
さっきからちらちらと視線を感じる。
さてさて。桂木さんはどんな弁当を作ってくれたのか。
少しわくわくしながら、オレンジの布をほどく。
「……あれ? 亮太それ、妹の弁当?」
予想外。
まさか弁当箱の色が薄いピンク色だとは。
「あ……ああ。お母さん間違えたのかな……はは」
「ピンクとか超可愛いじゃん」
「だっせー」
横目で桂木さんを見てみると、両手で顔を隠して俯いていた。
「ま、まあ弁当箱なんて飾りだろ? 問題は中身だよ。中身」
桂木さんをフォローするよう声を出しながら弁当箱を開く。
卵焼き。たこさんウィンナー。ミートボール。ブロッコリー。肉の炒め物。
見た感じはとてもおいしそうな、シンプルな弁当。
「いただきます」
卵焼きを取って、口に運ぶ。
…………味がしない。
「うん、卵焼きおいしい」
桂木さんに聞こえるよう大きめの声で言うと、桂木さんは安心するように深く息を吐いた。
フォロー成功。と思ったそのとき。
「マジで、俺にもちょうだい」
「あ……」
一緒に弁当を食べてる降屋が卵焼きを取って食べてしまった。
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