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廊下を走ってるところで、大事なことに気付いた。
……桂木さん、どこにいるんだろ。
足を止めて考えるけど、思い当たるフシは無い。
普段はずっと教室にいるからな……。
よし、なら上から探していくか。
まず向かったのは、屋上。
ガチャっと屋上に入る扉を開いて、まず目に入ったのは青い空。
周りを見渡すと、角に隣のクラスの坂下と川崎さんが並んで座っていた。
「あ、坂下。桂木さん来なかった?」
「桂木さん? いや、来てないけど」
「そっか……悪いな、いちゃついてるところ。じゃ」
学校でも有名な坂下夫婦をあとに、屋上から校内へ戻る。
それから3階、2階、1階と隅から隅まで探したが、桂木さんの姿はない。
「……ここにもいないか」
最後の希望だった体育館を一周したが、桂木さんはいなかった。
帰っちゃったのかな……もう。
「……ぁあ、くそ」
イライラする。何でかわからないけど。
体育館と学校をつなぐ廊下を歩いてると、体育館裏に生えてるとても大きな木が目に入った。
その大きな木に向かって、いつからあるかわからない足跡。
……最後の賭けだな。
あそこにいなかったら諦めよう。
足跡に沿って、土の上を上履きのまま歩いて体育館裏に向かった。
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