2812人が本棚に入れています
本棚に追加
/114ページ
「あ、ごめんなさい……。勉強、邪魔した?」
「ううん、大丈夫。桂木さんも……勉強?」
教科書を見ながら聴くと、黙って二回頷いた。
「そうなんだ……」
落ち着け、落ち着け俺。
一度も絡んだことのない好きな子が今目の前に、しかも図書室で二人きりという状況だけど、落ち着け俺。
この状況は、どうして俺を見ているのかを聴くチャンスではないか。
「私で……」
ん?
「私で良かったら、勉強……教えよっか?」
「え、ホントに?」
またも黙って頷く。
学年一位の桂木さんに教えてもらえるなんて、すごい助かるけど……
こうやってちゃんとした会話をするのも初めてなのに、何で教えてくれるんだろ?
……視線と何か関係あるのかな。
「……じゃ、お願いします」
ま、ともかく、教えてくれるも言うのであれば教えてもらおう。
見ている理由を聴くチャンスがあるかもしれないし。
「そのかわり……」
「?」
隣に座りながら、桂木さんが口を開いた。
「そのかわり、お願いがある」
最初のコメントを投稿しよう!